2009年 01月 22日
蕪村書簡(2年)ゼミ:置き土産句会
初富士を背に駅伝の襷来る 由美子
臘梅の初明かりして黄金色 由香
柏手の揃はぬふたり初詣 慧
今年また眠つてをりし初日の出 可奈子
熟睡で見逃してをり初日の出 綾香
初仕事お客様みな詣客 恵美子
ともかくも日本の夜明け初詣 絵美
初夢の後味悪し夜明け前 恵
テレビ見て初笑ひして料理待つ 香那実
送信のボタン押せない初便り ふじ子
アメ横はいつも人混み初仕事 瀬奈
元朝のそれはまばらな山手線 承子
初空や抱負たくさん胸に秘め 彩夏
初夢と言えず二日の夜を待つ 木綿子
三日後のちよつと笑へる初便り 菜緒
初詣みくじの言葉あたたかし 百合絵
そつとのぞく郵便受けに初便り 千尋
まづ風邪を治せ治せと初祈願 迷亀(裕美)
不景気を脱する願ひ初詣 美奈
初詣知らぬ子の絵馬見て笑ふ ともみ
初空の箱根駅伝続きをり 啓司
雲一つなき初空は頼もしき 辰一
のそのそと起きて眠たき初詣 絵里奈
運試しまづ福袋買ひに出る 杏梨
甘酒が好きで今年も初詣 茜
初詣に行けず寝込んでいる今年 美穂
初空に富士くつきりと故郷は 美加
新しい道がひらけて初明かり つかさ
初日の出みんなに届く年賀状 愛
初空に星がいつぱい出てをりし つかさ(早苗)
初売りに浮き足立つた人だかり 麻由
2009年 01月 22日
大学院講義番外篇
キャンパスに屋上ガーデン冬木の芽 文子
学生といふあこがれにをり冬の空 同
枯れてなほ空仰ぎをり冬の草 宏紀
ベランダのシャツも震へて寒の内 同
冬空を押し広げゆくホルンの音 芳恵
福寿草結びの帯の晴着らし 同
枯草に己が姿を重ねけり 加奈
キーボード凍えて離す夜もありき 同
病臥する祖父思ひだす寒さかな 大希
木枯らしに吹かれ洗濯もの乾く 同
屋上の風寒き日の四人かな 海紅
マフラーはピンク乙女のうらやまし 同
枯草を見に留守番を交代す 同
2009年 01月 20日
蕪村クイズ2
古庭に鶯啼きぬ日もすがら
柳ちり清水かれ石ところどころ
夏河を越すうれしさよ手に草履
水桶にうなづきあふや瓜茄子
春の海終日のたりのたり哉
鳥羽殿へ五六騎いそぐ野分哉
春雨や小磯の小貝ぬるるほど
埋み火や終には煮ゆる鍋のもの
蓑虫のぶらと世にふる時雨哉
牡丹散りて打ち重なりぬ二三片
斧入れて香におどろくや冬木立
二もとの梅に遅速を愛す哉
菜の花や月は東に日は西に
花いばら故郷の路に似たる哉
憂ひつつ岡にのぼれば花いばら
水落ちて細脛高き案山子かな
鍋敷きに山家集あり冬ごもり
牡丹切つて気のおとろひし夕かな
五月雨の大河を前に家二軒
蚊の声す忍冬の花の散るたびに
月天心貧しき町を通りけり
ゆく春や重たき琵琶の抱きごころ
遅き日のつもりて遠きむかしかな
几巾きのふの空のありどころ
白梅のあくる夜ばかりとなりにけり
【答え】すべて蕪村の句です。
2009年 01月 20日
たちまち句座に…
訪問して、御無沙汰と新年の挨拶とをかわす。
……では、ひと句会。
という先生の提案に従って、十五分ほどのつもりが、一時間三十分の長居となってしまった。
木枯らしの止んでをりたる見舞の日 海紅
病室のたちまち句座に冬ぬくし 同
2009年 01月 20日
ろうばいの風
日に風に透き臘梅の咲き揃ふ 小沼道子
2009年 01月 20日
塩ふりかけし如き雪
一月十八日の朝、こんな夢で目覚めると、茅屋の庭に塩をふりかけたような雪が降っていた。雪国に育ったボクはいろいろな雪を知っているが、こんなものは初めてのような気がする。
電線の雪の落ちたる一文字 津田千三
音もなく降る雪なれば恐ろしき 高木美雪
吹雪く日は遠くの友へ電話かけ 安田町子
深雪宿足あと家を一めぐり 高野素十
2009年 01月 16日
蕪村クイズ1(再録)
1蕪村はいつの時代に活躍した人ですか。(天明・安永・明和)
2蕪村の職業はなんですか。(俳諧師・画家・俳人)
3蕪村の郷里はどこですか。(大坂・摂津・毛馬)
4蕪村の姓はなんと言いますか。(谷・谷口・与謝)
5蕪村の俳号は何ですか。(宰町・宰鳥・蕪村)
6蕪村の俳諧の師匠は誰ですか。(巴人・宋阿・早野新左衛門)
7蕪村の画号は何ですか。(謝春星・謝寅・三菓軒)
8蕪村の門人は次の誰ですか。(几董・月渓・大魯)
9「北寿老仙をいたむ」とはどんな作品ですか。(和詩・俳詩・俳体詩)
10「 春風馬堤曲」という作品を解くキーワードは何ですか。(懐旧・薮入り・慈母)
11蕪村等の句会をなんといいますか。(三菓社・檀林会・写経社)
12蕪村の編著は何ですか。(寛保四甲子歳旦歳暮吟・此ほとり・夜半楽)
【答え】どれを選んでも正解です。選択肢のすべてが答えとして有効です。
2009年 01月 11日
即興:膝を抱いても(再録)
It is over in autumn by today.
When it holds my knee by myself,
it seems to be a tender lover. taigi
十一月六日(木)の三限。今日で秋は行き、明日は立冬という日のゼミで「行く秋や抱けば身に添ふ膝頭 太祇」をパロって詩の第一行目とし、二行目以降を一行ずつ連想して、以下のような連句もどきの遊びをした。先週で四年生の発表が終わり、三年生の発表に入る前の中入りだが、私にすれば、連句の魅力を知ってもらう試みでもある。今回は、結果としてできたものは共有作品というふうに考えて、各行の下にいちいち作者名を記さなかった。見た目がウルサイので…。
膝を抱いても
膝を抱いても淋しい
せめてお金があれば
温泉
日本酒でも飲んで
雪降り積もる下の家族
明日お嫁に行きます
月夜は馬車が出る
風に散り急ぐ桜一片
いえ、赤いランドセルですよ
参加者:山口真実・海保春花・佐々木かなえ・中原愛里・山本美南・海川なつき・海紅
2009年 01月 10日
七日粥
薺粥噴きこぼれたる緑かな 伊藤 孜