2009年 02月 27日
唄
唄 プレヴェール/小笠原豊樹訳
きょうはなんにち
きょうは毎日だよ
かわいいひと
きょうは一生だよ
いとしいひと
ぼくらは愛し合って生きる
ぼくらは生きて愛し合う
ぼくらは知らない 生きるってなんだろう
ぼくらは知らない 日にちってなんだろう
ぼくらは知らない 愛ってなんだろう
2009年 02月 22日
西行と「さはこの御湯」伝承
ところで件の『東京新聞』に、鯖湖の湯について「じゃぶじゃぶ入るお湯ではないです。静かに入って熱くなったら上がるを何回も繰り返す…」という旅館の女将のアドバイスが紹介されていた。それで、平成十七年八月に、ちちろさんと一緒にこの湯に入ったが、熱くて二秒も湯につかっていられなかったことを思い出した。飯坂温泉で『おくのほそ道』スクーリングをおこなった二日目の夕刻の思い出である。
※附記 「あかずして」の歌のある『拾遺和歌集』巻七は物名歌の集。つまり「さはこのみゆ」を詠み込んだ歌で、『類字名所和歌集』には「陸奥」として掲出。『曽良旅日記』によれば、飯坂の湯ではなく鳴子の湯のことらしい。
榛の花咲きて昔のまゝの村 渡辺信一
2009年 02月 21日
佳句は御当所性を超える
春泥の納屋までつづく桟俵
麦秋の真中通る農耕馬
人古りて鐘楼古りて蝉時雨
寝ころべば土筆の群れの寄りてくる
虹の根にお花畑の見えてきし
啄木鳥の啄き造るや山日和
湿原をめぐり青葉をくぐりけり
私の心をとらえた七句をあげてみた。飯山の個別性は文章にこめて、飯山を通して詠みながら、飯山を超える普遍性を描ききったものによい句があると思った。
2009年 02月 16日
梅花 ― ある手紙より
近頃なんだかさびしいなと思ったら
芭蕉会議から遠ざかっていた
梅の花が香っている
2009年 02月 15日
前田司郎「お買い物」
墓のべの草を焼きしも供養かな 高野素十
2009年 02月 13日
うえやまとち
ところで、KM君とはトキワ荘に遠くないアパートの、三畳間に住んでいた学生時代の隣り同士、貧を分かち合った人である。ボクは北国育ちで職人の子、彼はお坊さんの子なので、お互いの話がめずらしく、おもしろく、仲良くしてもらった。福岡に帰って、学校の先生をしているはずである。彼は漫画にも詳しかったから、ウエヤマトチというどこで切って読めばよいかわからない人のことも知っているにちがいない。
踏みし麦立ちなほりしと見て通る 出羽里石
2009年 02月 05日
立春
なごやかな風がめざめて
そよぎつつ織る、昼と夜とを。
その風は生き生きと物の隈々に行きわたる。
おお 爽やかな薫り、新しいひびき!
さあ 愁ひを拂へ、あはれな心よ!
今は何もかも新しくなる。
日ごとに世界が美しくなり、
まだ此の上どう成ることか果がしれない。
花々は留めどなく咲く。
いちばん遠い いちばん深い谷にも咲く。
さあ 苦しみごとは忘れ果てよ、あはれな心!
今は何もかも新たになる。
2009年 02月 05日
豆撒き
……福はウチ、鬼もウチ、
わが里は鬼を追い払わないのである。ボクの中にもいとしい心の鬼が住み着いている。
興福寺塔の上より豆を打つ 内貴 白羊
狩衣を脱げばこぼるゝ福の豆 金田 金鈴
豆叩きをりしが立ちて躍り踏む 木戸口金襖子
豆打つも畑打つも老余呉百戸 浜岡 延子
2009年 02月 01日
俳諧を専攻した理由2008
1十七音にそのすべてをこめる俳文芸は、その短さゆえに作者・読者の想像力に依存するところが大きい。それがおもしろいと思ったから(HM)。
2連句は規則にしばられる文芸だが、それゆえに自由な発想もできるという点に関心をもったから(HA)。
3和歌や連歌にくらべて身近な内容で、ありのままを写している詩のように思えたから(SA)。
4今では近寄りがたい印象の俳諧だが、近世の人にとっては娯楽性の高い遊び。私も愉しめるようになりたかったから(MN)。
5短詩型ゆえの深さを知って、どうせならその難しさにチャレンジしようと考えたから(SK)。
6芭蕉が『おくのほそ道』以外に、俳諧(連句)作品で高い評価を得ていることを理解したかったから(NY)。
7二年次の『おくのほそ道』講義で聞いた、芭蕉独自の作風(蕉風俳諧)というものに興味が湧いたから(TK)。
8「連句の規則は自由な発想の追求のために不可欠なルールである」という説明に同感したから(MT)。
9俳諧ゼミで連句を今風にした連想ゲームにふれたことがきっかけでした(KM)。
10蕉風俳諧とは、実は形式にとらわれず、余情を重んじる世界だという点に興味をもったから(OA)。
11二年次に、先生がポツリと「ジャズと連句って似てるかもナア……」と言ったのがきっかけです(YS)。
12読者が、次には作者になるという詩の形式がおもしろいと思ったから(YM)。
13細かい規則にしばられた、ゲーム性の高い文学として魅力を感じたから(NS)。
14以前から俳諧に興味があり、自分も俳句を作れるようになりたいと考えていたから(NS)。
15『おくのほそ道』受講の際に、芭蕉が生涯を掛けて向き合った文芸と聞いて、それを知りたかったから(OK)。
16中学のころから、隠逸者の文学に親しみがあり、後世にその読者が絶えない理由をしりたかったから(MK)。