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講座:奥の細道 ― 古人とともに生きる Ⅰ―

 今年は芭蕉と曽良が『おくのほそ道』の旅をしてから320年目ということで、江東区芭蕉記念館(東京都江東区常盤)が企画した講座に出講している。講座日程は以下の通りで、第一回目である先週は、昨年監修した小学館の雑誌『サライ 』〈大特集「おくのほそ道」を旅する〉(5月1日号)の附録、松平定知さんの朗読によるCDによって全文を聴いて、ともかく『おくのほそ道』の全体を知ってもらい、並行して芭蕉自筆草稿本・曽良本・素龍清書本の複製を回覧して、『おくのほそ道』の原本がどのような物かを想像してもらった。これは、毎年150~200名余の学生に『おくのほそ道』講義をしているが、一年で読了できたためしがないという反省に立って、毎回テーマを定めて、毎回作品の全体に言及するという方法を採用したのである。

1,6/26(金) 『おくのほそ道』を聴く、さわる
2,7/ 3(金) なぜ旅に出たのだろう
3,7/10(金) みちのくって、どんなところ
4,7/17(金) どんな人が描かれているの
5,7/24(金) 俳句って、なんだろう
by bashomeeting | 2009-06-30 18:39 | Comments(0)

常世へ19―村松紅花名誉会員を悼む

    村松紅花名誉会員を悼む―虚子敬慕を貫かれた人

 村松紅花先生(本名友次。文学博士)には、昨年七月より病気療養中であったが、平成二十一年三月十六日、東京都清瀬市の病院にて永逝。享年八十八。
 長野県の丸子町に生まれ、戦時中に小諸に疎開した高浜虚子に師事して、戦後はその虚子庵の留守を守り、虚子没後は高野素十に従った。〈選者になると、句が下がる〉を持論としたが、素十亡きあとは、乞われてその一門を糾合する『雪』誌の選者となり、多くの俳人を世に送り出した。だが、〈師が在りし日のごとく、終生選を受け続けたい〉という信念はゆるがず、『雪』誌を出て俳誌『葛』主宰となって以後も、『ホトトギス』への投句を怠らなかった。その虚子敬慕の念は、有志を募り、私財を投じて実現に奔走した小諸高浜虚子記念館の建設に端的にあらわれている。
 また国文学者としては、井本農一氏を軸に結成された俳文芸研究会の主要メンバーで、とりわけ芭蕉の『おくのほそ道』研究において長く最善本と評価されてきた素龍清書本をしりぞけ、曽良旅日記とともに伝来した推敲本を最終決定稿と結論づけたこと(『曽良本「おくのほそ道」の研究』)、蕪村研究では尾形仂著『蕪村自筆句帳』以後の研究史に境涯の俳人像を加えたことが特筆される。
 『評伝高野素十』ほか、近代俳句論も多く、実作と研究の両面で師事した門下の一人として、その落胆は筆舌に尽くしがたい。(谷地海紅)
                 ―俳人協会『俳句文学館』第458号(平21年6.5)より転載―
 
by bashomeeting | 2009-06-30 16:00 | Comments(0)

常世へ18―美しい夜潮

 俳誌『雪』(新潟)の七月号に、俳誌『はまなす』主宰の佐藤多太子氏が「村松紅花先生のこと」という追悼文を寄せています。その末尾に宮古湾の重茂半島(おもえはんとう)の民宿に一泊し、久保田ひろしさんのお世話で催した流灯のことが書かれています。紅花先生が虚子の法名を、村上三良さんが素十の法名を、多太子氏が実父の法名をそれぞれ筆で書いて流した由、多太子氏は〈美しい夜潮であった〉と懐かしんでいます。『雪』を丁寧に見れば分かるのでしょうが、これはいつのことであったか。
 平成十二年八月二日、私は墓参りのために家族と自家用車で北上し、八戸白浜の海幸園という民宿に一泊。そこで廊下の壁に「波の上飛ぶ海霧と海猫と 紅花」としたためられた色紙をみています。民宿は忙しそうにしていましたので、詳細を聞くことはできませんでしたが、もしや流灯の一夜とはこの海幸園ではありませんか。

  海霧を来しせめて遺影にまみえたく   海 紅
by bashomeeting | 2009-06-30 03:32 | Comments(0)

世界歳時記の国際比較

 東聖子さんを研究代表者とする報告書『世界歳時記における国際比較』(平成二十一年三月発行)をいただいている。日本学術振興会科学研究費助成金・基礎研究(C)の枠組に入るもの。平成十八年度から三年間の国際プロジェクトで、三百八十九頁の大冊。「はしがき」を東聖子、「刊行によせて」を英国俳句協会元会長デービッド・コブ、論文篇に中国・韓国・日本・アメリカ・フランス・ドイツ・イギリス・スペイン・ブラジルからの報告があり、その要旨を日本語と英語で付し、デービッド・コブ著/坂口明子訳『英国歳時記』の翻訳、参考文献がある。
 ボクの場合は、世界歳時記という茫洋たる言葉をまず消化しなければなるまい。
by bashomeeting | 2009-06-28 11:41 | Comments(0)

この人の一首◆樋口博子

  ふくらみし封筒開けばみづみづし茗荷五つが手にこぼれ落つ  樋口博子

 以前『散華』とい歌集をいただいた時にも思ったが、市村宏先生はいったい何十人の歌人を育てたのだろう。その数はボクには把握できないが、中でこの樋口さんがもっとも率直な教え子ではなかったろうか。先生のなんと果報なこと。作品は『三冊目』(六月刊、渓声出版)による。
by bashomeeting | 2009-06-28 05:02 | Comments(0)

この人の一句◆関口祥子

  鵜の小屋の羽毛からまる扇風機  関口祥子

 句は『天離る』(四月刊、本阿弥書店)から。しばらくお目にかかっていないので、あとがきを何度も読んだ。そこに「最近とみに、装飾を排し、分かりやすい言葉で内容を深めるように心掛けてきました」とある。
by bashomeeting | 2009-06-28 04:40 | Comments(0)

この人の一首◆木沢文夫

  浴槽につかりて吾子は伝へたり放送委員になりしことなど 木沢文夫

 取りかかるべき仕事は机の右に置き、ひとつずつ仕上げては左に移す。しかし、手のかかる仕事も少なくないから、実際は右から左へと簡単にはゆかず、結果として未処理のものが右側の未決の山の底へ底へと沈んでゆく。もらってからずいぶん時間がたったが、今夜この歌集『飛行機雲』(三月刊、渓声出版)を再読する時間が得られてよかった。
by bashomeeting | 2009-06-28 04:22 | Comments(0)

この人の一首◆雨宮潔

  「先生が卒業生を想ふのは反則ですね」とメールが諭す  雨宮 潔

 必ず丁寧に読むからネ、と約束していたのに、ずいぶん時間がたってしまった。作者の罹った病についてあれこれ考えたことも、その理由のひとつ。作品は『幸福の行方』(三月刊、渓声出版)による。
by bashomeeting | 2009-06-28 03:49 | Comments(0)

この人の一句◆高柳克弘

 六月十二日(金)、東洋大学エクステンション講座「坂口安吾と現代」の三番手として、「安吾の第二芸術論」という題で話した。いつか、その内容をまとめる時間を捻出しなければならないが、中で〈明治以降の日本に西欧詩が入って以後、それを学んだ日本の詩人たちの詩にやたらと「あゝ」「嗚呼」「oh」がふえて滑稽なほどだ。俳句とはこの「あゝ」を十七音にひらいた詩の歴史である。これがわからない散文的な人は俳人でもないし、俳句を理解できる人でもない。句作体験なしで、こんな日本文化批判は無謀だから、彼の知性や時代から見て、桑原武夫にも句作体験はあったのだろうが、もしそうだとしても、桑原の俳句はおそろしくへたくそであったにちがいない〉という話をした。
 数日後に高柳さんから句集『未踏』(六月刊、ふらんす堂)を贈られた。なかに、「雪降るや何かと嗚呼の明治の詩」というのがあって、ニヤリとした。もっともこの句は、直接には草田男の「明治は遠くなりにけり」を仕込んでいるのだろうが。

  ゆふざくら膝をくづしてくれぬひと   高柳克弘
by bashomeeting | 2009-06-28 03:04 | Comments(0)

俳諧の益は俗語を正すなり※

  昨日はかげろう金曜会で、天和二年(一六八二)の芭蕉について話す。高山麋塒宛書簡に、句作で避けるべき事柄のひとつとして、「一、俗語の遣ひやう風流なくて、また古風にまぎれ候事」とある。これはのちに「俗語を正す」とか「高悟帰俗」という言葉で説き続けた心掛けに同じである。帰宅して気がついた。夏目成美にも「俗語鄙言なるも、もとつ風雅の心よりなし出ださば、人の心にも徹底して、鬼神を泣かしむべき此処なり」(俳諧小言十則)とある。「力をも入れずして天地を動かし、目に見えぬ鬼神をもあはれと思はせ、男女のなかをもやはらげ、猛きもののふの心をもなぐさむるは歌なり」(貫之・古今・仮名序)を踏まえていることはいうまでもない。成美は四時観派、すなわち大坂で最晩年の芭蕉に接し、元禄十五年(一七〇二)に東下して其角門に入るが、正徳元年(一七一一)には隅田川の庵崎に有無庵を営み、以後漂泊と庵住に生涯を送った祇空の系譜に学んでいる。
by bashomeeting | 2009-06-20 21:08 | Comments(0)

芭蕉会議、谷地海紅のブログです。但し思索のみちすじを求めるために書き綴られるものであり、必ずしも事実の記録や公表を目的としたものではありません。


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