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海紅山房日誌

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芭蕉会議、谷地海紅のブログです。但し思索のみちすじを求めるために書き綴られるものであり、必ずしも事実の記録や公表を目的としたものではありません。

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 鎌倉円覚寺教導日本橋に晒す。
 玉の盃、底なきがごときと言へど、色好むは人性にして、
好まざるは獲麟よりも稀なり。あるは染殿の姫を思ひ、又は
物洗ふ女に迷ふ。やごとなき僧正、雲に住む山人すら、この
一筋は踏みとめがたくやありけん。
 僧教導は仏道のいさをしも九五近き身の、戒を破りし罪と
なん、巷に面をさらさるる。余所目さへいとほしく、にがにがし
くぞ侍る。

   雪汁のかかる地びたに和尚顔


〔鎌倉円覚寺教導日本橋に晒す〕 女犯の僧は日本橋の橋詰めに三日さらし、その後追放された。
〔玉の盃、底なきがごとき〕 『徒然草』第三段を踏む。
〔獲麟〕 「獲麟」は想像上の動物麒麟をとること。たいそう稀なこと。
〔染殿の姫〕 染殿の后。藤原明子(アキラケイコ。文徳帝の女御)。紀僧正(真済)が藤原明子(染殿后)に一目惚れした結果病死し、死後紺青色をした鬼、あるいは天狗と化して后(明子)のもとに現れて悩ませたので、比叡山無動寺の相応和尚に退治されたという逸話がある(『古事談』巻三・『宝物集』巻二)。紀僧正(真済)は空海の高弟で『性霊集』の編者でもあり、文徳帝の信頼も篤かった。染殿は清和天皇の母でもある。
〔物洗ふ女〕 久米仙人に神通力を失わせた女(『今昔物語集』巻十一)。
〔九五〕 キュウゴ。易の卦で最上位。天使の位。

【解題】 小林一茶が相生町五丁目(東京都墨田区緑町一丁目)の新庵(借家)に入った、文化元年の暮れの作。四十二歳。一茶と鎌倉との関わりを調べていたら、ふと目に飛び込んできた。それで備忘に書き留める。
by bashomeeting | 2012-02-21 17:39 | Comments(0)
木久扇1 向こうから坊さんが来るね。
木久扇2 ソーかい。
        *
木久扇1 坊さんがふたり。
木久扇2 ソー、ソー。
        *
木久扇1 貸したコーモリ傘返して。
木久扇2 ごめんコーモリやす。
木久扇1 だから傘ナイって言ったんだ。
by bashomeeting | 2012-02-20 20:32 | Comments(0)
今栄蔵『芭蕉年譜大成』角川書店
岡田利兵衛『蕪村と俳画』八木書店
今栄蔵『芭蕉伝記の諸問題』新典社
田中善信『芭蕉=二つの顔』講談社
高橋庄次『芭蕉庵桃青の生涯』春秋社
井本農一『芭蕉入門』講談社学術文庫
櫻井武次郎『連句文芸の流れ』和泉書院
浪本澤一『芭蕉七部集連句鑑賞』春秋社
安東次男『芭蕉七部集評釈』集英社
阿部・久富『詳考 奥の細道』日栄社
久富哲雄『おくのほそ道 全訳注』講談社学術文庫
松隈義勇『『おくのほそ道の美をたどる』桜楓社
堀切実『「おくのほそ道」解釈事典』東京堂出版
麻生磯次『奥の細道講読』明治書院
新芭蕉講座6『俳論篇』三省堂
堀切実『俳聖芭蕉と俳魔支考』角川選書
村松友次『謎の旅人 曽良』大修館書店
山下一海『芭蕉と蕪村の世界』武蔵野書院
村松友次『鑑賞日本の古典17 蕪村集』小学館
尾形仂『蕪村の世界』岩波書店
岡田利兵衛『蕪村と俳画』八木書店
村松友次『蕪村の手紙』大修館書店
安達直朗『遊女風俗姿細見』展望社
上田都史『自由律俳句文学史』永田書房
片山由美子ほか『俳句教養講座』(全三巻)角川学芸出版
by bashomeeting | 2012-02-17 07:49 | Comments(0)
   :怖いものはありますか?
大田:あの世があったら、怖いです。地獄でも、天国でも、怖いです。美輪明宏さんが言うみたいに、みんな気体になっていて、誰が誰だかわからないならいいですが、人間の形をしていて、またイヤなやつに会うとか、序列があったり、付き合いがあったりとか、そういう形の死後の世界があったら、とても、とても怖い(笑)。死んだら、ゼロになりたい。
              ―〈[大田美和]への99の質問〉より抽出―

【解題】 「[大田美和]への99の質問」は文芸誌『北冬』№013(2011.12 北冬社)所収。〈特集◇[1000年の言葉]の向こうへ〉という企画で、この号は大田美和(歌人・英文学者)が責任編集。質問のなかで、「自分の歌で、好きな一首は?」という問いに、「終わりがあると知ればなおさら天翔る得意絶頂の歌にひかれる」という〈シューマンの音楽と生涯を念頭に置いて作った歌〉をあげている。
by bashomeeting | 2012-02-15 11:53 | Comments(0)
   白雨や戸板おさゆる山の中   助 童
 去来曰く「黒崎に聞きて、これに及ぶなし。句体風姿あり、語呂とどこほらず、情ねばりなく、事あたらし。当時流行のただ中なり。
 世上の句、多くは、とする故にかくこそあれと、句中にあたり合ひ、あるいは目前をいふとて「ずん切の竹にとまりし燕」「のうれんの下くぐり来る燕哉」といえるのみなり。
 この児、この下地ありて、能き師に学ばば、いかばかりの作者にかいたらん。第一、いまだ心中に理屈なき故なり。もし、わる功の出で来るに及んで、またいかばかりの無理いひにかなられん。おそるべし。

〔助童〕 筑前(北九州市)の蕉門推颯の子。
〔黒崎〕 今の北九州市八幡区黒崎。
〔風姿〕 姿情のうちの一方である「姿」のこと。一句全体の形。整ったカタチ。芭蕉は単に歌の風体(外見上の様子)に倣って「姿(form、appearance)」と言ったが、支考は姿情融合を説くために、「風姿」「風情」の二つに分けて説いた(『葛の松原』・『続五論』・『去来抄』修行)。
〔語呂〕 口調(tone)。
〔情ねばり〕 理屈の押しつけ、強要。文中「とする故にかくこそあれ」のたぐい。
〔わる巧〕 悪巧。わるごう。悪ふざけ。ここでは「情ねばり」や理屈。
〔無理いひ〕 不自然で、姿の悪い句をつくる人。

【主旨】 筑前(黒崎)の助童という子どもの句を例にとれば、よい句とは〈外見が整っているもの〉である。外見のよさは、なめらかな口調(tone)と、事実の発見から生まれる。一方、ダメな句は、主義主張に傾いたり、ありふれた景色を描写したりするものである。

【解題】『去来抄』同門評の一節。備忘に掲げる。
by bashomeeting | 2012-02-11 11:12 | Comments(0)

俳句とダルマ落とし

 俳句はダルマ落としに似ている。ただし、ハンマーでどこの部分を落とすかが難しい。
by bashomeeting | 2012-02-04 17:13 | Comments(0)

えんぶりの舞

 二月五日付の『俳句文学館』は、雪深い大地で豊作を予祝する祭事「えんぶり」をトップ記事にしていた。これは二月十七日に八戸で展開される舞で、昨年、その地に嫁いでいる吉田千嘉子さんに、めずらしい重要無形文化財だから見に来るようにと誘われたのだが、出かけることができなかった。私の職場はこの時期が繁忙期で、なかなか予定を立てにくいのだ。
 読み進めると、平成十六年から、篝火の中で解説を聞きながら見ることができる「お庭えんぶり」も行なわれて、観客は甘酒や「せんべい汁」をすすりながら、お大尽さま気分で、春を告げる舞を味わう、とある。昨年の日本心理学会でS先生が、八戸のB級グルメと言いながらくれた「せんべい汁」に急に親しみを深くした。祭りの日は今年も仕事でどこにも出かけられないが、いただいた「せんべい汁」は、実は冬場に食べようと思って、まだ仕舞い込んであるので、近いうちに味わって、雪深い八戸に思いをはせてみようと思う。

  異次元へつづく扉や大枯野   千嘉子(『朳囃子』)
by bashomeeting | 2012-02-04 11:38 | Comments(0)

豆撒きをした

 今日はかげろう金曜会で、元禄五年五月七日付の去来宛芭蕉書簡を読んだ。これは芭蕉の手紙のなかで一番の長文で、長さにすると四メートル以上もある。だから読んだと言っても、二時間かけて三分の一ほど、行にして三十行ほどであった。終わって、事務室の前を通ると、日めくりに節分とある。うっかり豆撒きを忘れるところであった。
 電車で自宅のある最寄り駅を降りると、鬼神様の豆撒きから戻る人たちとすれ違った。家人に聞くと、豆の用意はしてあるという。豆を打った。ボクは農業に携わる暮らしをしているわけではないから、予祝ではなく追儺のつもりである。全国的に寒く、雪の多い年だが、海では冬が終わり、春の魚が回遊しているという話を聞いた。確かな春が始まっている。

   外出の娘の部屋も豆を打つ    海 紅
by bashomeeting | 2012-02-03 21:56 | Comments(0)

芭蕉会議、谷地海紅のブログです。但し思索のみちすじを求めるために書き綴られるものであり、必ずしも事実の記録や公表を目的としたものではありません。


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