2013年 08月 13日
こんなものが出てきた◆「むかし紅花」八句
丹野汀石
昔紅花今さくらんぼ翁道
面白山を下る涼風
草いきれ三代前はアイヌとか
無人駅にも人だかりして
ここまではみんな旅の句月仰ぐ
網戸の網の錆びて冷ややか
二十年住んで松虫きりぎりす
耳やや遠き人を愛して
▶▶▶十五日からのスクーリングの支度をしていて見付けた紙片。記憶では平成20年のスクーリング(於山寺芭蕉記念館)で巻いた「はじめての連句」のメモと思われる。発句の作者「丹野汀石」氏は受講者の一人の亡き父上。懐かしみながら、この句を紹介してくれた。だから、脇起こりの教材として創作してみたものであったかもしれない。なぜか作者名を記録していなかったが、当時を思い出すよすがに残してみる。
なお、本紙片の裏側に次のような付句案がメモ書きされていた。今となっては、これまた作者失名とせざるをえない。sorry。
力こんにゃくお土産に買ふ
アイヌ語でオンコと言へば一位なり
駅のホームの見ゆるペンション
枕の下を川が流れて
コオロギや駅に電車の入る音
旅人に柿まだ青し川の音
2013年 08月 09日
この人の一句◆藤木倶子句集『清韻』
牡丹の花に触れ行く車椅子
山清水呑んでこの世の美しき
炎帝の息立ち上るアスファルト
年の瀬や紙に截られし指の疵
▶▶▶藤木倶子句集『清韻』(角川学芸出版、平25.6刊)。角川俳句叢書「日本の俳人100」の一。