海紅山房日誌

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「寒けれど」脇起こし連句(11句) 平29年度俳諧ゼミ

寒けれど二人寝る夜ぞ頼もしき     芭蕉
麻莉乃の屋根に降りつもる雪     麻莉乃
ウェディングベルが山越え野を越えて 真太郎
子栗鼠の口に見ゆる団栗        富博
逃げ出して迷子になりぬビルの月   美帆子
地下道に入る銀杏黄葉         麻実
潮風にどんどん進む老朽化       知也
千鳥と遊ぶ人に客あり         真聖
助手席の幼なじみにプロポーズ     昂良
亡き娘似で色白な孫          沙織
オルゴール今は昔になりにけり     優弥

▶▶平成29年度の俳諧(連句の世界)ゼミ(大学3・4年)は芭蕉と蕪村の歌仙を読んできた。例年通りだが、全員の発表が済んで、さて締めくくりは芭蕉や蕪村とそこに一座する仲間の想像力をたたえるために、我々も座の文芸の連衆になって実作を試み、ハラハラ体験をしてみようと強引に誘った。当季の芭蕉の句を立句に脇起こしにした。

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by bashomeeting | 2018-01-29 16:10 | Comments(0)
「いざや寝ん」脇起こし連句(10句)

いざや寝ん元日はまた翌のこと  蕪村
散らかる部屋に聞く除夜の鐘   匠
新雪に足跡つけて学校へ     幸叶
鳥が飛び立つただ青き空     恵美
月に雲かかるも楽し団子食ふ   智美
コスモス揺るる公園を出て    安奈
マニキュアの素足に秋の風やさし 円花
髪かきあげる妻の皺の手     潔乃
階段の途中で止まり抱きあへる  祐希
瓦を叩く夕立の音        海紅

▶▶平成29年度の与謝蕪村ゼミ(大学2年)は書簡を読んできた。全員の発表が済んで、さて俳人の本業である連句(俳諧の連歌)に挑戦しようと提案。研究はどこまでいっても舞台の観客の領域を出ない。最後に舞台にあがってみようやと強引に誘った。蕪村ゼミだから蕪村の句を立句に脇起こしにした。

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by bashomeeting | 2018-01-29 15:49 | Comments(0)
句作の心得◆芭蕉会議10周年記念句会で述べたかったこと

 いま思えば、芭蕉会議の発足は平成17年(2005)で、N氏との運命的な再会でウェブサイトが生まれ、発足イベントがおこなわれたのは翌18年(2006)5月28日のことであった。この2年間は弟の早世や母の野辺送りが続き、職場では組織の統轄に奔走する役回りになるなどと忙しくしていたせいか、事態の推移はぼんやりとしか思い出せない。
 俳句を杖にして暮らすことの仕合わせを噛みしめてはいるものの、所属する俳句雑誌に毎月投句するというリズムにもついてゆけなくなっていた。それで芭蕉会議が平成27年(2015)に10周年を迎えるという話題が出るようになっても実感はわかない。こんな無自覚を叱咤するように有志による記念誌編集委員会がうまれ、平成29年10月22日を刊記とする『芭蕉会議の十年』と『芭蕉会議俳句選集』を作ってもらい、その翌々月の12月2日には記念の俳句会と祝賀会がおこなわれた。以下はその句会で話して、意を尽くせなかった句作の心得の整理である。

 ……句会のある何日も前から時間をかけて趣向を練り、あれこれ思案して、当日に投句する句を手帳に書きためる。歳時記を開き、過去の作例を読み、辞書をひいて慎重に言葉をさがす作業である。芭蕉の伊賀成長期や江戸市中居住期、また蕪村一派の兼題発句会が、おおむねこうした理性と知恵を総動員する作り方をしていた。こうして生まれる句のなかには、ときおり深い味わいをもつものがある。しかし、それをそのまま句会に出しても、自分の考えた深い味わいが連衆に通じなく、重々しい感じは魅力のひとつだが、手がこんでいるために言葉の向こうに画像を結ぶことができず、最終的には読者に警戒されて、互選外に切り捨てられることも多い。
 そうした独り善がりを克服するために、吟行という方法で自分に向かい合うのはきわめて理に叶っている。つまり、ふだんは自分に課された日常をシッカリこなし、句会当日はその日常生活から解き放たれ、最近の自分を見つめ直す時間を得たことに感謝し、投句〆切り時刻を意識しながら、自然の中に句材をさがし、それを言葉に置きかえる語彙力を動員し、制限時間内にまとめるよう、自分を攻めるのだ。
 まがりなりにも、それができたとき、つまり不満ながらも句が出揃ったかに見えたときに、ボクが短時間勝負の吟行(嘱目詠)の結果として気をつけている手続き、7項目を示して参考に供す。決まった時間内に集中して句作するのは、もし出来なかったら怖いと思ったりもするが、実はその怖さ・真剣さこそが、言葉で自己を美しくすくい取る最良の道であると思う。
 なお、つねづね、投句終了までは私語を慎んで、ギリギリまで頑張っている人に気を遣ってくれと申し上げているのは、これが理由である。

1)観察(写生)したか→姿先情後
2)ヘソ(中核)はあるか→感動の焦点
3)必要な言葉のみに絞ったか→文章力
4)言葉を飾っていないか→無駄の削除
5)感情に酔っていないか→私意を捨てよ
6)全体の調子は整ったか→舌頭に千転
7)自分の句と思えるか→主題の確認

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by bashomeeting | 2018-01-21 19:56 | Comments(0)
西村一平の作歌の心得

……余計なことを云つてゐないか、云ひ方が露骨でないか、言葉が不精確でないか、語法が間違つてゐないか、歌わうとした感じが適切に出てゐるか、どことなく調子が悪くないか。

▶▶これは長谷山隆博氏によって最近発見された「青樹会」の合同歌集『青樹集』所載。本書は袋綴、ガリ版刷り、90頁で、収められる西村一平の歌論の一節(長谷山隆博著「一兵の歌」『芦別文芸』44号所収、平30.1.20)所載。成熟した短歌や俳句に共通する、明治以降の詩歌表現の心得の到達点と判断して転載する。西村一平は歌人で六花書房(芦別市)主人。明治44年(1911)~平成13年(2001)、90歳。石川県金沢市生。大正初期に母に連れられて北海道に渡る。芦別・赤平に育ち、札幌逓信講習所を卒業して十勝本別郵便局配属。昭和5年(1930)、芦別郵便局に転じ、同6年には与謝野寛・晶子に師事。召集、復員。昭和22年(1947)退職。同年芦別に短歌会の「青樹会」設立。新詩社同人。歌集に『橇の鈴』『石狩びと』他、自伝に『石狩にふる星』等がある。なお、『芦別文芸』は北海道芦別市に発行所を置く「芦別ペンクラブ」の文芸誌で、会員以外の一般にも投稿を呼びかけている。問い合わせは編集兼発行人の長谷山隆博氏(Phone:0124・23・0203)。

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by bashomeeting | 2018-01-21 15:37 | Comments(0)

芭蕉会議、谷地海紅のブログです。但し思索のみちすじを求めるために書き綴られるものであり、必ずしも事実の記録や公表を目的としたものではありません。


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