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この人の一句◆中村ひろ子句集『ドロップ缶』ふらんす堂

神仏と遊ぶ鳥獣戯画の夏
心根の透けてきさうな夏衣
くづ金魚三つの命掬ひけり
再会の約束はせず麦酒つぐ
羽子板の少女横向く歳の市
半壊と便りにありて薄暑かな
かしは手を打ちて蜥蜴に一礼す
山神に分けて貰ひし歯朶飾る
弁天の水馬をのけ銭洗ふ
秋の来る方を見てゐる風見鶏

▶▶中村ひろ子句集『ドロップ缶』〈未来図叢書第207篇〉(2018.9.19、ふらんす堂)をいただいた。ひろ子さんとは東洋学研究所のシンポジウム(2019.1.12)で再会。ボクの「日本の詩歌と釈教―芭蕉連句を軸にして―」という話を聞いた感想を手紙に添えてくれた。そこに、「芭蕉の仏教観とは本当に目から鱗…」「まだ鎌倉新仏教が誕生していない時代に、和歌を手にしたまま成仏したいとあがいている鴨長明がかわいそうになってきた」とある。熊本大学を出た才媛で、大学の学生句会で俳句に出逢い、「未来図」の人々との吟行で研鑽。仕事・結婚、そして子育てという生活に、一時、俳句を諦めたようだが、近年再開して、それ以降の句を収める。鍵和田秞子の序、作者自身のあとがき。俳人協会会員。
by bashomeeting | 2019-01-24 17:59 | Comments(0)
はじめての連句2018◆「魚鳥の」脇起こし半歌仙

魚鳥の心は知らず年忘れ      芭蕉
帽子につもるほどの初雪      富博
ストーブも焚火も季語と驚いて   知里
今も昔も風の子といふ       菜月
石畳来る足音に月白く       真聖
換気扇から届く蕎麦の香       功
虫の夢虫の声とはかぼそくて    真聖
父の上着に口紅の跡         葵
恋仲を見てみぬふりの笠地蔵   舞里奈
大きなビルに変はる四つ辻      功
本当は漫画を描いて稼ぎたい   香葉子
呼んでも返事をしない不機嫌    菜月
人多き待合室もホームにも     千映
賛美歌響く夏の夜の月      真太郎
先生に隠れてアイス食べてをり   香葉子
後悔多き日記読むらし      舞里奈
お下がりの着物にみえず花吹雪   海紅
壺焼きを買ふ青きマニキュア     葵  

▶▶平成9年度以降、30年度まで学部3年4年ゼミは連歌俳諧研究で、友人と編んだ『連句の世界』(新典社)を教材にした。毎年30名程度のゼミ生が所属したというと、他大学の研究者は、その受講生の多さに驚いた。連歌俳諧の分野に、毎年そんな人数が集まるものかと疑いの眼を向けるのだが、事実である。本年もその最後に、作る側にまわって芭蕉の「年忘れ」の句を立句に、「はじめての連句」を創作。こうした文芸に一座した昔の人々の知性に驚いてもらった。句案はなかなか難しいらしく、ここに登場するゼミ生は10名(ワタナベ・トミヒロ/フジヌマ・チサト/ゴトウ・ナツキ/トウドウ・マサト/クボタ・タクミ/スガワラ・アオイ/ヒラコ・マリナ/タカハシ・カヨコ/イケダ・チアキ/カンバラ・シンタロウ)だが、切り短冊を受け取って、付句に智恵をしぼった総数は30名である。
by bashomeeting | 2019-01-19 12:21 | Comments(0)
あけましておめでとうございます2019

 平成三十一年年己亥 歳旦

定年といふ字を太く初硯  海 紅

▶▶詩歌の表現の本質は省略にある。それが生む間にある。間は余韻(心情)を盛りつける皿である。皿はどんな読者の心をものせ得る普通の皿(一般性・普遍性)であってほしい。年頭にあたって思ったことです。日々を御大切にお過ごしください。
by bashomeeting | 2019-01-01 09:46 | Comments(0)

芭蕉会議、谷地海紅のブログです。但し思索のみちすじを求めるために書き綴られるものであり、必ずしも事実の記録や公表を目的としたものではありません。


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