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 【本日の話】台風19号を御見舞い申し上げます。唐突ですが、『ある愛の詩』( Love Story/1770)の「愛とは決して後悔しないこと」(Love means never having to say you're sorry)とは上手い翻訳ですね。『おくのほそ道』全昌寺の一節「一夜の隔て千里に同じ」について妄想しながら、そう思いました。さらに、蘇東坡の「人生に離別無くんば、誰か恩愛の重きを知らん」(「潁州にて初めて子由と別る」)という一節を思い出しました。さらに、蕪村の「得たきものは強いて得るがよし。見たきものは努めて見るがよし。又、重ねて見るべく、得(う)べき折もこそと等閑にすべからず。重ねて本意とぐることはきわめて難きものなり」(『新花摘』)を思い出しました。逢えるときには逢っておこうということであります。

▶▶性格として、自家広告めくことは苦手である。それで、今まで紹介したことはないが、実は長く朝日カルチャーセンター新宿の講師を頼まれ、俳諧や俳句の講座を担当している。いま、「『おくのほそ道』の想像力」というタイトルで、〈芭蕉さんも立派だが、芭蕉が踏まえている古典が、いかにボクらの生涯にとって大切な遺産であるか〉という話をしている。毎回B4判で2枚のレジュメを用意して臨み、冒頭に「本日の話」という要旨を掲げている。思うところあって、ここに先月のそれを転載した。この日は〈全昌寺の章に「一夜の隔て千里に同じ」の心を読む〉というテーマであった。
 個人的な事柄で恐縮だが、実は10月3日に大切な友人を亡くした。ただし、読むべき人が読めば、ボクの「思うところ」は想像してもらえると信じて、これ以上の説明は控えたい。


    小石川後楽園小集
  石蕗に問ふ草葉の陰といふは何処    海紅
  石蕗曰く草葉の陰といふは此処     同
  みそなはせ小春に集ふ二十人      同



by bashomeeting | 2019-11-18 11:24 | Comments(0)

この人の一句◆河瀬俊彦句集『箱眼鏡』ふらんす堂刊

どの船も錨をおろす大旦
まだ年の明けぬ国より初電話
風光る犬のリードの伸び縮み
虎杖を折ればわらべの頃の音
草餅を焼けば母の香父の色
初夏の風を両手に一輪車
名刹のあるじ顔して蟇
冗談も本音の一部ところてん
みんなして濡れて喜ぶ夕立かな
あめんぼの水に弾力ありにけり
「遅れます」とサンタクロースより電話
どろばうも医者もゐぬ島冬ぬくし
切株のここが居場所や冬日向
木の葉散る終の住処探すかに
東京に迷ひ込んだる雪女
煖炉燃ゆ壁に大きな鹿の角

▶▶河瀬俊彦句集『箱眼鏡』。川口襄序。小山徳夫跋。あとがきに、退職後に所沢市で『遠嶺』主催の初心者講座があり、それを受講したのが俳句を始めたきっかけと記す。その後『遠嶺』入会(主宰小澤克巳逝去により終刊)。その後『爽樹』創刊に参加して今日に至る。海紅とは面識はないが、「わくわく題詠鳩の会」(芭蕉会議)に投句されていて、作品は存じ上げていた。帯に自選十句があるが、「みんなして濡れて喜ぶ夕立かな」の一句が上記に紹介した海紅推薦句と重なる。俳人協会会員。ふらんす堂、令和元年(2019)10月刊。


by bashomeeting | 2019-11-14 18:04 | Comments(0)

芭蕉会議、谷地海紅のブログです。但し思索のみちすじを求めるために書き綴られるものであり、必ずしも事実の記録や公表を目的としたものではありません。