俳誌『鷗』二月号が届く。故長谷川耕畝さんの「『句修行寸言』抄2」を読む。中にある「悪い句」の一章を抽出する。
俳句でもっとも嫌うのは観念の表出に終わっている句である。つづいて、説明、報告、理屈に終始している句。更には風流ぶり、思わせぶり、上手ぶり等、或は奇を衒った句等も嫌われる。いずれも詩情が無いからである。
雨に濡れ日に乾きたる幟かな 虚子
という人口に膾炙されている句を若い日の素十は「悪い句ですね」と言ったそうである。虚子はにこにこと「悪い句です」と答えたという。その心は理屈。この師弟ならではの逸話である。