人気ブログランキング | 話題のタグを見る

紹介◆連句年鑑(2021)

 大久保風子氏から令和3年版『連句年鑑』(日本連句協会、6月30日発行)をいただいた。今号には中名生正昭氏(ナカノミヨウ・マサアキ。俳号穂高)の「芭蕉と蕪村―未来に生きる名句」(南雲堂刊『芭蕉の謎と蕪村の不思議』からの転載)、吉田酔山氏(日本連句協会副会長)の「俳諧師のマニュアル『三冊子』」、そしてわれらが谷地元瑛子氏の「連句は文学、連句は祈り」という一文を掲載して圧巻。
 酔山氏を存じ上げないが、中名生氏は読売新聞の編集委員等を勤めあげ、現在は「無花果俳句会」(庵主海紅)のメンバー。
 そして、谷地元瑛子氏は芭蕉会議の仲間だが、実は「エア国際連句協会」の世話人代表で、外国の連句人と連句を巻く機会を持っていることを知る人は多くない。近代文学史上の連句の冷遇を知っている識者には、本誌の「連句は文学、連句は祈り」という文章はきわめて刺激的なものと映るであろう。
 一読を勧めたい。

  歳時記の解説のごと半夏生   海紅

# by bashomeeting | 2021-07-13 20:35 | Comments(0)

紹介◆五郎ワールド「根っこがあって花がある」

 無花果俳句会のF氏から、句会のメンバーに宛てて、読売新聞〈7月3日(土)〉記事の画像がE-mail添付で届いた。連載企画タイトルは「五郎ワールド」。言うまでもなかろうが、「五郎」とは橋本五郎(評論家・ジャーナリスト・読売新聞特別編集委員)氏である。
 この日は「根っこがあって花がある」という題目の一文。そこに「美しい花をみて根っこを思う人は少ない」ということばを遺した加藤日出男(平29没。「若い根っこの会」創設者)、大蔵省(現財務省)主査時代に日本育英会創設に骨を折った大平正芳(昭55没、首相)とその上司である植木庚四郎( 昭55没。法相等歴任)、そして読売新聞で五郎氏の6年先輩の城山邦紀氏の四人のエピソードが綴られている。
 大平・植木が苦学の人であることはつとに知られているが、キヤマ・クニキさんも「新聞記者の原点」が「貧しい靴屋のせがれに生まれた」ことにある点で大平・植木につながる。詳細は新聞記事にあたっていただきたいが、要約すれば〈人生の根っこである子ども時代の貧しさが、こうした人格者を生みだした〉ということか。
 ところで、このクニキさんは俳号九天、われらが無花果俳句会のメンバー。それで、全員がこの記事を共有できたのである。ボクはその礼状に〈「五郎ワールド」を読みました。若い根っこの会、日本育英会、そして組合委員長の「靴屋の息子さん」のお話に自分の生い立ちを重ねて胸があつくなりました。私も「教員を十五年勤めあげれば、奨学金の返済は免除される」という日本育英会の理念に飛びついて救われた貧乏人でありました〉としたためた。

  荒梅雨と聞けば美し人家の灯   海紅

▶▶これはメールに添付された新聞の画像をもとに書きましたが、ネット上に「読売新聞オンライン」なるサイトがあって、紙ベースの購読者以外も、容易に読める時代であることがわかりました。「五郎ワールド」「根っこがあって花がある」などで検索されるとたどり着くと思います。

# by bashomeeting | 2021-07-11 12:31 | Comments(0)

紹介◆中川四明の『四明句集』(ふらんす堂)


 噂に聞いていた中川四明の『四明句集』(ふらんす堂、R3.7.1)をいただいた。坪内稔典さんの大阪俳句史研究会の編になる。
 四ヶ月前に根本文子さんの労作『正岡子規研究―中川四明を軸として―』(笠間書院)が出ていて、なんだか時代が四明を欲している気がして嬉しい。
 四季の句を二句ずつあげてみます。

    春雨の音の嬉しき幕間かな
    物かはと女わたりぬはるの水
    涼しさや鑓水に灯の走りゆく
    笠二つ一つは立ちぬ田草取
    後から猫が鳴きけり秋の暮
    菊の香や石器あつむる考古癖
    古本をさがしてあるくこはるかな
    鉢叩応仁の乱過ぎしより

 イイ句ですね。

 

# by bashomeeting | 2021-07-06 17:37 | Comments(0)

蛍を見にでかけた

 国道にバイパスができると、そこに大型の市場がうまれ、その周囲をレストランや書店、さらに美容室や修理工場などが軒をつらねて、町は活気を帯びる。
 それでも、そのバイパスを横切って里山沿いを数分入ると、蛍が飛び交っている。そういう自然に三十年ほど親しんできたが、去年はかろうじて二匹を確認するのみであった。
 二日前に、今年はもう見られないだろうと、なかばあきらめ気分で出掛けると、同じ里山の小流れにやはり二匹をたしかめることができた。平家蛍であった。来年はどうであろうか。

音もせで思ひにもゆる蛍こそ鳴く虫よりも哀れなりけれ(源重之・後拾遺)
物思へば沢の蛍もわが身よりあくがれ出づる玉かとぞ見る(和泉式部・後拾遺)


# by bashomeeting | 2021-06-30 17:48 | Comments(1)

断捨離◆俳句の心得に似ている


    かなしみはいつも
                        坂村真民
かなしみは
  みんな書いてはならない
かなしみは
  みんな話してはならない
かなしみは
  わたしたちを強くする根
  わたしたちを美しくする花
かなしみは
  いつも枯らしてはならない
  いつも噛みしめていなくては
  ならない

▶▶教職から解放されて、ほぼ2年が過ぎようとしている。最初の1年は逢いたい人に逢いに行ったり、まだ行ったことのない土地を選んで旅をして過ごした。ところが、2年目はほとんど山房に引き籠もっている。いうまでもなく、地球規模の感染症の流行がその理由。断捨離は嫌いな言葉だったが、いきおいそれと向き合わざるを得ない毎日である。すると不思議なもので、捨てることが少しずつ快感になってきた。掲出の一文も断捨離中にひょこり出て来たもの。数年前に、通勤途中にある曹洞宗の医王山妙清寺(文京区白山5-33)門前に書き出してあるのをメモしていた。不明にして、坂村真民(サカムラ・シンミン)なる人を知らなかった。明治42年(1909)に熊本に生まれた国語教師で、一遍上人を敬愛して 仏教詩人と呼ばれているらしい。

# by bashomeeting | 2021-02-22 11:48 | Comments(0)

芭蕉会議の谷地海紅(本名は快一)のブログです。但し思索のみちすじを求めるために書き綴られるものであり、必ずしも事実の記録や公表を目的としたものではありません。


by bashomeeting