この人の一篇◆椎名美知子さんからの詩の贈りもの〔其3了〕
2021年 11月 27日
椎名美知子
誰だって心に引っかかるものを持っている
いろいろあってね
いろいろあるよね
電話の向こう
語らなくても分かり合えるものがある
心の中にしまっておくと重いから
前に出しておいてください
そう 風の通り道にです
大きな袋を持って回収に行きます
そのあと空に舞い上がって
袋の口を開けまき散らします
広い空だからたちまち霧散してしまいます
心配ないよって木霊になって帰ってくるかもしれません
風下にいた人がうっかり吸い込んで
気持ちが灰色になって変だなあって首を傾げたりして
ウフッ
でも大丈夫 風がまた吹き飛ばしてくれます
考えてもどうにもならないことがある
ケセラセラ なるようになります
風が吹いていれば
そこにとどまっていることはないのです
電話の相手はもしかしたらいつかの自分
さあ 元気で行きましょう